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お米の花の受粉写真で大爆笑

おしべとめしべお米の花の受粉シーン


 鳥取県で、「涌気農法」という独自の農法でお米作りをしている友人がいる。
 数年前まで、遅咲きのシンピジウムの栽培をしていたが、今はお米を作っている。
「涌気農法」というのは、自分の気構えを表したネーミング。
 地中からミネラルや栄養素が湧き出すような土をつくり、水にこだわり、
綿を田んぼに敷き詰めて、苗を育て、極力、農薬は避け、
稲城掛けという天日干しで
太陽の恵みを一杯吸った美味しいお米作りをと励んでいるのである。
 そんな友人の田んぼのお米は特に美味しいということをトンボも知っているらしく、
 収穫前になると、赤とんぼが群れをなして来るらしい。

 その友人から、昨年、お米の花の写真を撮って欲しいという依頼が来た。
 早速、東京で米を作っているところを探しだし、白い小さな花をいっぱいつけた
稲穂の群生の写真を撮って送ったところ、
「そうではなくて、欲しいのは、花の雌べと雄しべの写った写真」だという。
 それが、どんなものなのか分からなかったのでインターネットで調べてみた。
 籾の中のメシベとオシベは天気の良い日の9時から10時の間に
籾の殻が2つに割れて受粉する。そして、それが終わると、すぐに閉じるとあった。
 籾1粒と言えば、せいぜい2ミリか3ミリの大きさ。
 これは難物。
 一体、どうすればいいのか──と、カメラをこねくり回しながら、いろいろ考えた。
 すると、突然、閃きが来た。
 それは、レンズの上にもう1本レンズを重ねるというものだった。
 というのは、文字が小さくてよく見えない時、レンズをルーペ変わりにしていたことから、
「もしや」と思ったのである。
 やって見ると、案外いける。
 被写体に対して、数センチまで寄れるのである。

 これを持って田んぼに行った。
 しかし、籾が開いているのを見つけるのは難しい。
 田んぼからの湿気と、上からの熱で汗が滝のように流れる。
 集中力も、失いかけている。
 近くにいる男性に、
「お米の花の雌しべって、見たことありますか」と。
 しかし、
「そんななもの知らねえ」と、実につれない。
 もう少し頑張ろうと自分に言い聞かせて、再びカメラを構える。
 茎についた虫が目に止まる。
 その虫に興味を持って、シャッターを切る。
 虫が動く。その虫を追ってシャッターを切る。
 そうしていると、虫が開いている籾に行き着いた。
 そうなのだ。虫が開いている籾に導いてくれたのである。
 2つに割れた籾に焦点を合わせると、何か光るものがあったので、
とにかくシャッターを切る。
 デジタルカメラのビューワーは、確実にそれを捉えていたが、
それが雌しべなのかどうなのかは分からない。
 しかし、体力の限界だった。
 帰って、コンピュータで拡大して見ると、
そこには、お米の受粉という神秘の世界が写されていた。
 その写真を見て気づいたことは、雄しべにはヒゲのような触診があって、
その触診が籾の割れ目のあたりにヒューと伸びている。
 写真で見ると、撫でているように見えるのである。
 すると、割れ目がパッと開く。
 その瞬間、なんと、他のおしべがヒューッと入って受粉している。
「なんとズーズーしい。これでは、良いとこ取りではないか」
 画面を見ながら、つい、そんな言葉が口からもれてしまった。

 後日、写真を見せながらいろんな人に話していたら、
ある女性がご主人を呼んできて、
「ホラ、お父さん、これ、お米の花のHの写真なんだって」
 ダンナさんは、興味深い目つき、顔つきで写真を覗きこむ。
 奥さん、写真の場面を指さしながら、
「ホラ、このオシベが手をのばして、籾のあそこを撫でるの」
「ホラね」
「すると、こういう風にパッと開くの」
「そうしたらなんと、こっちの男がいきなり迫ってきて…。アハハハハー」
 周りにいた人も、皆、爆笑。
 ダンナはと見れば、実に照れくさそうな顔をしてニヤニヤと笑っていた。
 私の周辺では、飲むとしばらく、このネタで盛り上がっていた。
  
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プロのこだわり

TOPの写真を自分で撮ったものに変えてみた。
写真を撮る人間にとって、人の写真だと、どうにも落ちつかない。

つい最近まで、写真はアナログ、そう言ってフイルムに拘っていたが、
デジタルカメラを使わなければだめな状況になって、購入した。
 
アナログカメラに比べると、実に簡単。

早く変えれば良かったと思う。

先日、ある出版社に写真集のプレゼンテーションをした。

プレゼンに使用した写真は、フイルムを家庭用のスキャナーで
DATAにしてからプリントしたもの。

出版社が拘ったのは、フイルムなのかデジタルデータなのか─ということだった。

写真集である以上は写真の微妙なデティールに拘りたいというのが出版社の意向。

今はほとんどの出版社がデータ入稿を求める時代に、
あえてフイルム入稿を求められたのである。

それを聞いて、嬉しさがこみ上げてきた。
そして、その出版社を選んで良かったと思った。

そうなのだ、写真集は、ただ、見た目がきれいであれば良いという
レベルのものではない。

私がアナログ写真に拘っていたのも、まさにそれだったのである。
何事も、便利だからといって、それで良いと満足してしまっては駄目だということ
を改めて教えられた。そんな気がした。

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